夢の彼方
「あなたには子供が3人もいるわ。それにまだ若くてかわいいし」


「タケル君と同い年ですよ」


「でもとても38歳には見えないもの。可愛くて若々しくて―――きっとこれからだっていくらでもいい人が現れる。だからお願い。わたしからあの人を奪わないで―――」


泣きながら、わたしの手を取り縋るように言い募る千鶴さんに。


わたしは何も言うことができなかった。


「―――わかりました。もう、今日を最後にしてもらいますから・・・・」


そう言うより他に、どうにもしようがなかった。


それに。


実際、もう潮時だろうとは感じていたのだ。


もう昔とは違う。


タケル君に恋していたわたしはもういないのだ。


今は本当に、大事な友達という以外に特別な感情は抱いていなった。


もうここで、やめてもらった方がいいのだ・・・・・。

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