夢の彼方
葬儀が終わってすぐ、わたしは仕事を再開した。


生活のため、休んでるわけにはいかなかった。


今まで2人で手分けしていた仕事を全て1人でやるのはきついと思っていたけれど。


その当日から信次の友達が2人やってきて、出荷の作業などを手伝ってくれたのだ。


重い荷物の梱包や出荷の作業をするにはやはり男手があれば助かる。


だけど彼らには彼らの仕事だってあるだろう。


そうそう頼りにするわけにはいかない。


「子供たちにもできることはやってもらうし、大丈夫ですから」


そう言うわたしに、彼らはにこにこと笑いながら言った。


「気にしないでください。俺の仕事なんて別に少しくらい休んだってどうとでもなるし」


どうとでもなる仕事って、どんなのだろう?


「俺も大丈夫ですよ。仕事だけじゃなくって、お子さんのことでも何か困ったことがあれば力になりますから」


「あ・・・・ありがとう」


もしかしたら、まずいかもしれない。


なんとなく、そうは思ったのだけれど。


それでも、旧友のため、手助けをしてくれているのだろうと思っていた。


それが違うとわかったのは、ある日、彼らのうちの1人、田口という信次の幼馴染だった人物が1人でやってきたときのことだった・・・・・。
< 4 / 149 >

この作品をシェア

pagetop