夢の彼方
「あれは、今人気の医療ドラマの撮影現場。あのドラマの監督が今度新しい刑事ドラマを作ることになってて―――それの

日本人刑事役の俳優を探してたんだ」


医療ドラマ―――


そうだ、どこかで見た人たちだと思った。


日本でも放映されてるアメリカで大人気だというあのドラマは、わたしも大好きで見ていたのに、気付かないなんて―――


「あの監督とルークは学生時代からの親友なんだ。その縁で、うちの俳優を使ってくれてる。で、今回もイメージに合う日

本人の俳優はいないかって言われて。ルークがあんたを薦めたってわけ」


「監督って―――あのとき話してた人?わたし、挨拶とか何もしてないけど―――」


「それは明日でいい。あそこの現場も慌ただしかったし、あのドラマももう佳境に入ってて忙しいから」


「それで―――合格って、あれで?」


「そ。あんたはめでたく初仕事をゲットした。―――んだけど、まだうちとの正式な契約が済んでないから、これから会社

に言ってすぐに契約を済まさないと」


なんだか初日からめまぐるしいほどの状況の変化に、頭がついていかない。


でも―――


新しい世界への扉は、開かれたんだ・・・・・。

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