夢の彼方
会社に着いたわたし達は、その大きさにまず驚いた。


50階建てのビルは全てプラチナキングスのもので、その名の通りビル全体がプラチナカラーに輝いていた。


ロビーは吹き抜けで広々とした空間になっていて、ラウンジでは社員証を胸にぶら下げた社員たちがコーヒーを飲みながら

、打ち合わせをしたり休憩をとったりしているようだった。


「まずはルークのところへ行こう。そこで契約の手続きをする。それが済んだらプロフィール用の写真を撮りに行く。その

あと、売り込み用のプロフィールの作成だ」


エレベーターに乗り込みながらそう言うレジーに、呆気にとられる。


「それ、全部今日やるの?」


もうすでに、時間は午後の4時を過ぎていた・・・・・


「やあ、漸く会えたね」


社長室に入ったわたし達を、ルークが笑顔で迎えてくれた。


「まずは、ようこそアメリカへ!そして、オーディション合格おめでとう!!」


「ありがとうございます。あの、オーディションのこと、わたし何も知らなくて―――」


「ああ、悪かったね、騙し打ちのようなことをしてしまって―――。彼―――スティーブンとは学生時代からの親友でね、

彼にあなたの自然な姿を見て欲しくて、こんな形にしてしまったけど・・・・おかげで彼もあなたを気に入ってくれたよう

で安心したよ」


「そうなんですか?」


一言も言葉を交わさず、その姿を見たのも最初にレジーと話をしていた時だけだ。


向こうはわたしのことを見ていたのだろうか?
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