夢の彼方
そしてすぐ近くには大きな公園。


『ようこそ、みなさん。本日の撮影場所はこの公園全体です。この公園の中でなら、どこでどうやって遊んでくださっても

結構です。ただし、親子は必ず同じ場所にいてください。これから3時間、たっぷり遊んでいただくだけ。撮影していると

いうことは忘れていただいて結構ですので、充分楽しんでください!あ、ベンチに置いてあるこのジュースを飲むのもお忘

れなく!』


オーバーアクションの陽気な白人男性の声に、集まっていた親子たちがばらばらと公園に散り始めた。


「ねえママ、俺あれで遊びたい!」


瑠加が、わたしの手をぐいぐいと引っ張る。


そこにあったのは木と木の間に張られた長いロープに繋がったブランコのような乗り物に乗って遊ぶというターザンロープ




あっという間に小さな子供たちが集まり、次々に遊び始めるその様子を、カメラマンが撮っていた。


もちろん他の遊具で遊んでいる子供たちの周りにもカメラマンがいて、公園中にその光景が広がっていた。


そしてところどころにあるベンチの上には炭酸飲料がたくさん置かれていて、喉を潤すためにみんながその瓶を手にし飲む

様子もカメラマンが逃さずに撮る。


3時間はあっという間に過ぎ、子供たちは本当に撮影ということを忘れ、めいいっぱいその広い公園中で遊びまくっていた

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