夢の彼方
大切な存在
それから。


わたしは時々ドラマやCMにエキストラのような役で出演したりしながら3ヶ月後のドラマ撮影に向け、英会話を習得すべく

勉強する毎日が続いた。


毎日学校で生の英会話を実践している子供たちと違って、わたしの場合は自分から積極的に外へ出ていかないと人と話す機

会がない。


あまり自分から話しかけることが得意ではないわたしにとっては大変なことだったのだけれど・・・・・


そんなわたしに協力して、ほぼ毎日一緒にいてくれたのがレジーだった。


「発音が違う。そこはジーじゃなくてズィーだ」


厳しい声だけれど、根気良く付き合ってくれるレジー。


いつも一緒にいて、買い物の時に使う会話や、銀行や郵便局でのATMの使い方から窓口での質問の仕方など、生活に必要な

ことを事細かに教えてくれていた。


当初言っていた家庭教師をつけるという話は、ルークの命令でレジーがその役目を担うことになったらしかった。


迷惑ではなかっただろうかとちょっと心配だったのだけれど。


「あんたは心配しなくていい。これは仕事だから。撮影が始まるまでに、きっちり会話できるようになってもらわないと俺

も困る」


その厳しい言葉に、わたしはごくりと唾を飲み込み頷いたのだった・・・・・。

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