私の愛した先生。【完】
離任式
離任式の日になった。
そして離任式はあっという間に終わった。
今日は先生と一回も話していない。
私たちが作った道を歩く先生の姿を見ただけだった。
こっちに来て話しかけてくれると思ったのに
結局こっちではなく反対側の生徒にばかり話しかけていて
最後の最後に悲しい気持ちでいっぱいになった。
先生が壇上で言っていた言葉もすごくあっという間に終わったし
なんだかそっけない気がして
23日が急に怖くなった。
「紀之先生行っちゃったね…」
梨絵が遠慮がちにそう言う。
「そうだね…まぁ23日に会えるからいいや」
そうだよ…
気にしない。気にしない。