また会いたくて。
涼介Side
「涼介~」
俺は、誰かに呼ばれて後ろを振り向いた。
「あ、東(アズマ)」
2年1組
このクラスは、男女差は8:2。
8割が男子で、2割が女子。
そんなおかげで、女子は男子恐怖症なくらいに男子に怯えていた。
そんな中で、俺は女子には一生、縁のないものだと思っていた。
東と俺は、1年の頃番号が前後で仲がよくなった。
それで、俺ら毎日放課後は一緒だった。
部活は同じ、野球部に入っていた。
でも、練習は週に4回。
火曜日、金曜日、土曜日、日曜日。
特に、月曜日と水曜日は何もなく、暇をしていた。
時間がある日は、近くのコンビニでウロチョロしていた。
ウロチョロと言っても、お菓子売り場と文具売り場と雑誌売り場をちらりと見て、それで帰るくらいだ。
そんなくだらないことでも、東と一緒にいるのは楽しかった。
東にも、彼女はいなくて
俺にも、彼女がいない。
好きな人とか、恋人とか、
俺にはいらないものだと、思っていた。
友達がいるから。
恋情か友情かなんて、聞かれたら、
即答で 『友情』 って答える。
彼女がいる奴とか見ると、変に腹が立つ。
でも、東はいい。
東は、カッコいいけど彼女は作ってこない。
「涼介、次どうする?」
東が俺に聞いてきた。
俺らはコンビニを出て、行くあてもなく歩き始めようとした。
すると、東が俺を呼び止めた。
「おい。涼介!」
「あ?」
俺は、足を止めた。