運命
暴力
「お前あの男とどういう関係だよ」

いつもの怒鳴り声。

首を締め上げられ
声が出ない。
蹴られたお腹が疼く。
遠のく意識の中


「あぁ、顔腫れてるだろうな」

そんなこと考えてた。


否定は、しない。
したって
きっと同じ。
殴られて殴られて
余計に相手を
逆撫でするだけだ。




どれくらい時間が経ったのだろう。
力つきた私は
横たわっていた。





いつかこの人に殺される。



そう、思いながら。。。






「ごめんな。
ホント、俺…ごめん。
お前のこと大事なんだ。
愛してるんだ。」

そう言って私を抱き締めた。

何度も何度も
ごめんと呟きながら。


私は、ただ黙って頷いた。




付き合いはじめて2年。
出会った次の日に
告白されて
付き合いがはじまった。

とても優しくて笑顔のかわいい人そんな印象だった。
付き合い初めて半年も経たない頃から
少しずつ変わって行った。

私の携帯を常にチェックしたり
友達と会うことすら
難しくなっていった…。


私にはそれが拒否できなかった。
ただ何も言わず従っていた。
喧嘩したくなかったし
それも彼の愛情だと
思っていた。


日が経つにつれ
彼の束縛が増してきて

遂には
自宅にいるときは
10分おきのワンコール。
お風呂のときも
おトイレにさえ
電話を持って行った。
常に電話に出られる状態にしていた。






誰か…助けて



そんなことすら
誰にも言えなかった。
殴られても
蹴られても
彼は、私を愛してるんだ。
彼だけが…



そう思っていた。





私は…?



そんなこと
考えたこともなかった。


ただ私を深く深く
求めてくれる
彼を愛しいと
思っていた。


1人じゃない。


殴られることで
いつしか
私は、彼の愛情を確認していた。
私の心は、既に
凍りついていた。
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