つながり
沖縄の最果てに存在する“波照間島”

母がそこの出身者であり、父は東京出身。

都会の僕は、海と山に囲まれた自然なる島に初めて足を踏み入れた時、強烈なインパクトがあった。

都会にはない澄んだ空気――完全なる自然のままで。

僕は気がついたら、そこが大好きになっていた。

「帰るのいやだ~!ここにいる~!!」

波照間島を離れる時、幼少の頃の僕は泣いていて散々周りを困らせていたそうだ。

それから、毎年夏に波照間島に行くようになった。

そして、西紀大輔6歳の夏―――。

「早く――!!」

大輔は両親を急がせる。大好きなあの場所が待っているから。
空港に入った僕は、両親を置いて走る。

「大輔!待ちなさい!!」
両親が声を出すが、空港のアナウンスや雑音に消される。

波照間島に行けるわくわく感が、僕の中でいっぱいだった。

6歳の波照間島の冒険が、ある事件に巻き込まれることも知らずに――。


僕は何かにぶつかって、尻もちをついた。
上を見上げると、そこには、サングラスをかけているおじいちゃんがいた。

「坊や、大丈夫かい」

おじいちゃんの声は、ズンと何かが来るものがあった。
おじいちゃんは手を差し伸べた。

「あ、ありがとう。おじいちゃん。」

大輔は、おじいちゃんの手を握る。
それは、おっきくて暖かい手―――――。

「でも、坊や。空港は走りまわっちゃいけないよ。わかったかい?」

「う、うん。ごめんなさい。」

「気をつけていくんだよ。」
そう言い、おじいちゃんは、去っていく。


これが―――――運命というのなら、そうなのだろう。

そして、僕は、遅れてやってきた両親と共に、波照間島に向かった。

大輔の運命を決める、6歳の波照間島の冒険が幕を開けるのだ。
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