つながり
「雨だわ・・」
母は外を見上げていた。
しかし半端な雨ではない。スコールだ・・。

「大輔はまだ帰ってこないのかぇ?」
おばあちゃんが居間にやってくる。

「ええ・・、一体どうしたのかしら。」
心配になって、母は大輔を捜す準備をする。

「ちょっと見てくるわね!」
「うん、気をつけてな!!!」


スコールは思ったより、激しかった。
激しく大輔に降りかかって来る。

「いてっ!いててててっ!!」
骨折した足をかばうようにするが、しかし他の部分に降り注ぎ、痛みが走る。

動こうとするが、動けない・・。

「お母ちゃん!!!」
6歳の大輔は半べそになる。

「大輔!!」
母は懸命に探すが、どこにも見当たらない。

スコールは激しさを増してくる。

大輔に当たる量も半端でなくなる。
これ以上、骨折が長引けば、足切断になる可能性もある―――

そんな時だった。
僕にとっての、ヒーローが現れてくれたんだ。


「大丈夫か、坊や。」

ジャケットを被せてくれた人――――

「あ、ありがとう・・・おじさん。」
「全く、ここは立ち入り禁止だぞ。興味津々で入るんじゃない。坊やが落ちた時、私は遠回りでここにやってきた。」

「う・・・」
助かった安心感で、僕はおじさんの胸の中で泣き崩れた。

「大丈夫、大丈夫。」
おじさんは、サングラスをかけていて分からなかったが

微笑んでいたように感じたんだ――――。


スコールも落ち着いてきて、おじさんは僕を抱き上げた。
「さあ、帰ろう。」
「あ、ありがとう・・・。」


僕は、おじさんに助けられた。


その人こそが、映画スターだったのだ。

しかし・・・・。
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