過去作品集○中編
意を決した告白。
達也からの返事は無かった。
『あー、えっと……その』
思い切りフラれるもんだと思ってたから、こうなると逆に戸惑う。
次の台詞は考えてなかったから……
『それは、信じていい?』
と、ようやく達也が口を開く。
『俺は亜由美の気持ちに応えられないよ…… 亜由美を好きって核心もない』
でも答えは予想通り。
やっぱりフラれるんだ。
そう思って目を伏せた時、
『でも別れてから、ずっと寂しかった』
達也が、そう言ったんだ。
『勝手だけど、亜由美を手放した事……ずっと後悔してた』
達也。
それって……
『それが好きって事じゃないの?』
私と同じ。
二年間、ずっと後悔してた。
『好き、なのかなぁ……』
『人を好きになるなんて、そんな単純なものなんだよ』
単純で、間抜けで……
だから回り道をする。
寄り道をする。
『解らないけど、亜由美に傍にいてほしいんだ』
私達は、もう少しだけ回り道をする。
達也の気持ちが、確実に鮮明になるまで……
『傍にいるよ。 達也が望むなら、ずっと傍にいる』
例え、達也が桜さんを好きでも。
逆だったとしても。
私は達也が好きだって……
達也の優しい目を見て、そう言った……