One's time《短》
Past
高校に入学して一週間。
その頃にはもう、生林 茉莉花(ショウバヤシ マリカ)の名前を知らないものは校内に誰もいなかった。
金髪のボブ。
誰が見ても可愛いと思う顔。
バランスのとれたスタイル。
遠目からニ、三度見ただけの俺にもわかる完璧な容姿をしていた。
同じ中学だった奴によれば、芸能界へのスカウトも何度かあったらしい。
だけどそんなマリカに声をかける人間は、日毎に減っていき。
ついにはクラスメイトも、下心丸出しの男達でさえも、誰ひとり、マリカと関わろうとはしなくなっていた。
そしてマリカに話しかけた奴らは、一人の例外もなくこう呟いていた。
生林茉莉花は変わり者だ、と。