One's time《短》
その日の三時間目。
寝不足だった俺は適当に言い訳をして授業を抜け出し、保健室に行く途中だった。
そして一階の廊下を歩いているとき。
中庭に、金色に輝く何かが揺れていた。
足を止めてその金色を見つめる。
あれはもしかして……
辺りを見回すと誰もいない。
話かけるなら今が絶好のチャンスだ。
俺は行き先を保健室から中庭へと、迷うことなく変更した。
「何してんの?」
足音をたてないようにゆっくりと近づいた俺は、その背中に声をかけた。
金色は驚くこともなくゆっくりと振り返る。
それは間違いなく。
生林茉莉花だった。