One's time《短》

その言葉に反応して、途端にブスッとした表情になるマリカ。

可愛い顔が台無しだ。

俺はそんなマリカからふいっと顔を逸らして、意味もなくパソコンをいじった。


……ジャスミン姫とは“茉莉花”が元来、ジャスミンを指す言葉だったから、と皆が面白がってつけたあだ名なんだけど。

マリカはこのあだ名が嫌いらしい。


ちなみに、マリカに突きをもらったのは。

よろしくな。ジャスミン姫、と握手を求めたときだった。


「なに拗ねてんの? つまんない男だね」

背中にそんな言葉を投げつけられる。

だけど俺は言い返す言葉もなく。

チラッと振り向くと、マリカはマットレスに寝転がり、本の続きを読み始めていた。
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