One's time《短》
「ねえ、アマネ」
数十分後。さっきの出来事を忘れたようなあっさりとした声に呼ばれる。
さっきの事を反省していた俺は、笑みを作りながら後ろを振り返った。
「なんだ?」
読んでいた本にしおりを挟んで閉じ、寝転んだまま俺を見つめるマリカ。
珍しいな。マリカが本を読んでる途中に話しかけてくるなんて。
いつもは俺が話しかけても無視するくせに。
「あのさ、付き合うってなにするの?」
……その質問は。
コロッケってどうやって作るの、と聞かれたときと同じ気持ちに俺をさせた。