One's time《短》
俺は、完全にフリーズしてしまった。
付き合ってたらキスをする。
うん。それは間違っていない。
だけど……その話の流れからすれば、俺とマリカは付き合っていることになる。
「俺達、付き合ってたっけ?」
場面が違えば最低な台詞。
いや、今も最低な台詞なのかもしれないけど、俺からすれば純粋な疑問なわけで。
俺はまるで、SFファンタジー小説の登場人物のような気持ちだった。
「そうだよ。付き合ってなきゃ、家に入れない。だから私、最初にこの家に入るとき“いいの?”って聞いたよ」
まるで他人事のようなその説明口調に、俺の記憶は遡っていく。
そして……確かにそう聞かれた事をはっきりと思い出した。