One's time《短》
マットレスと同じく真っ白な肌掛け布団をかぶるマリカの手には、本が握られていた。
マリカは活字中毒だ。
学校でも常に本を持ち歩いていて、ミステリーを読んでいた次の日に、経営学の専門書を読んでいたりする。
ジャンルにこだわりはないらしい。
その手に握られた本のタイトルを見ると、映画にもなった魔法ファンタジーの最終巻。
昨日は学校に来ていたから、多分夜から全シリーズを読み返していたのだろう。
そりゃあ、学校も休むよな。
俺は苦笑した後マリカに背を向けて、デコレーションされたパソコンの電源を入れた。