クリームパン


ドアの向こうには可愛くはにかむ杏がいた。


杏はゆっくり教室に入ってきて、オレの隣の席に座った。


『話しって…なに?』
オレにたずねる。


言わなきゃいけない………


だけど、何度も練習したシュミレーションが頭からとび、パニック状態になってしまって沈黙が流れてしまう。


『………渉?』
ずっと黙っているオレに向かってだだ不安げにオレを見る。


オレは自分の拳を力強く握りしめ、勢いよく立ち上がった。



「……オレ………、オレ、お前の事が好きだっ!!」
ついに言ってしまった。もう後には戻れない。


オレは心臓をバクバクさせながら、答えを待つ―――――



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