クリームパン
帰宅デート
〜杏side〜
渉はいつまでも泣きやまないあたしを優しく包んでくれた。
やっと、涙が落ち着くと「帰ろっか」
と渉は言った。
本当はもっと一緒にいたかった。
でも、時間も時間だった。
『……うん』
校門をでてしばらくしたときだった。
「腹減らない?」
そういえば、空いている。
『すいた』
「オレ、いいもの持ってるんだ。……じゃーん!!クリームパンでーす!」
「はいっ」
渉はクリームパンを半分こして渡してくれた。
『ありがと』
あたしはクリームパンにかぶりついた。
『おいしぃ』
あたしが渉に恋した日に食べた味と同じ愛を感じた。