クリームパン


あたしがちょうどクリームパンを食べ終えた時、不意に渉の顔が近づいてきた。
渉の瞳はあたしを見つめて逃さない。



今度は手が伸びてきた。反射的に腰を引いてしまう。






「口にクリームついてる」そう言って、あたしの口についていたクリームを指でとるとペロッと舐めた。



『…………ッ』
あたしはみるみる体温が上がってくる。


「お前、顔赤いよ?」
意地悪そうに微笑みながら言う。



『バカッ』
あたしは恥ずかしくなって1人で歩きだす。


「あっ、ヒドッ」
渉はあたしを追いかけてくる。それに負けじとスピードを上げる。しかし、簡単に追いつかれてしまった。



すると、手に温もりを感じた。
「いつまで、すねてるの」そう、渉があたしの手を握っていたのだ。


ドンドン体温が上がっていく。
でも、この手を離したくてはなかった。



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