クリームパン
〜渉side〜
友達と喋ってたら、いつの間にか杏と愛華はカフェテリアを出てったみたいだった。
「なぁ、渉」
「なに?」
オレは親友の登坂愁(とさか しゅう)に返事を返した。
「………杏のこと好き?」
「……………ハッ!?」
突然の質問に頭がまわらない。
「だから、杏のことを好きかって聞いてんの」
「何で??」
「いやぁ、だって俺と愛華はカップルじゃん!?」
「あぁ。だから??」
そう、コイツと愛華は付き合っている。でも、なんでそれがその質問の理由になるのかが理解できない。
「んで、渉と杏がカップルになればダブルデートできるじゃん!!」
最高の計画でしょ、と言わんばかりの笑顔で言う。
「あいにく、オレは杏をそんな風に考えた事はない」
「えぇ〜いい作戦だと思ったのに」
「そんなにうなだれなくても」
「でも、お前ら結構お似合いだぜ?」
「んなこと言われてもなぁ」
つい頭をかく。
―――――――でも、これがオレにとって自分の気持ちに気づけるキッカケだったのかもしれない。