王様とアタシの絶対恋愛制度


「凪紗ーいないの…か…」


途中で言葉を失った


「どうしたんだよ!?」


俺は慌てて中に入ると
電気を付けて当たりを見回した


「何があった…?」


いつもと明らかに部屋の雰囲気が違う


家具こそいつもと変わらないが


凪紗のものが何もない…


大事そうに飾っていたぬいぐるみも


大事そうに育てていた花や観葉植物も


ガラス製の小さな丸いテーブルも


いつも見慣れていたものが
何一つなくなっていた


有るのはタンスやテレビ等の
大きな家具とソファー



そしてソファーにちょこんと座り
身動き1つ取らない凪紗だけ…



「おい!凪紗!
どうしたんだよ!?
何があったんだよ!?」


俺は凪紗に近づき腕を掴んで
顔を除き込んだ



「ち……ち…ぃ…?」


か細くて消えてしまいそうな声


「うん、そうだよ俺だよ」


凪紗の目は赤く頬には涙の跡


俺を捉える目は生気を
失ってしまったようだった


「知晴ーー!!!」


泣きながら抱きついてきた凪紗を
ギュッと強く抱きしめた


「怖かっ…た…

独りで……怖…かった…」


「大丈夫、大丈夫だから
俺が要るから…大丈夫」



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