王様とアタシの絶対恋愛制度


「なに言ってんの…

明日からあたしはいないんだよ?」


泣きそうなのを堪え知晴に背を向けたまま
ずっとサボる気?と付け足す


憎まれ口でも叩いてないと
泣き崩れてしまいそう


知晴は少し驚いたように目を見開いたが
直ぐに目を細め切な気に微笑んだ


「ずっと、サボろっかな?」


ニッと悪戯に笑ったのが背を向けてても分かる


「バカ!」


冗談言う状況じゃないでしょ!?


そう思って振り返った瞬間
目の前が真っ暗になって


鼻をくすぐる香水の香りと
温かい腕の温もりに包まれた


「本当、鈍いよな凪紗は…」


ギュッと強く抱き締められて
知晴の顔が見えない


ドキドキして知晴の言葉を
考える余裕すらない状態


「く、苦しい…離してっ」


そんな抵抗が精一杯の照れ隠し


「いーやーだっ
離したくない」


知晴が私の首筋に顔を埋める


「バカ…ワガママ言わないでよ」


あたしだって離れたくないよ


でも、今の世で王の命令は絶対なんだ


誰も逆らえない


逆らうことは"死"を意味するから


< 31 / 67 >

この作品をシェア

pagetop