王様とアタシの絶対恋愛制度
「いやーそれにしても」
その声にハッと現実に連れ戻される
広々としていて車内であることを
忘れてしまいそうな空間
所々に飾られたガラスのシャンデリア
丸く向かい合わせになった座席
真ん中にある高級感漂う机には
いい香りのハーブティーとお菓子が
それぞれ高級そうな食器に包まれている
そんな空間であたしの向かい側に座る
紫野さんに目を向けた
「びっくりしましたよ」
そう言って優しく微笑む紫野さんに
あたしの方がびっくりしてますと
心の中で呟きながら
「何にですか?」
と聞き返す
「あなたにですよ」
相変わらず笑顔を崩さない紫野さん
あたしに?
王宮に不似合いな一般庶民だから?
答えを焦らす紫野さんにあたしの
被害妄想は膨らみっぱなし