王様とアタシの絶対恋愛制度
さっき紫野さんは『"アノ"坊っちゃんが』
と言っていた。"アノ"って何?
それにどんな人か尋ねたとき
一瞬困ったように腕を組んでたし
やはり噂に聞く極悪非道で
人を道具としか思っていない
最悪な人間なのだろうか
それに何故一般庶民のあたしが
王様の后候補に選ばれたの?
知晴と離れるショックで忘れていたけど
理由が全く分からない
会ったこともなければ
話したこともないのに…
もしかすると后とか言って
こき使う気じゃあ…
あたしは完全に混乱していて
不安はまもなく恐怖に変わろうとしていた
そんな時…
「着きましたよ」
相変わらず笑顔を崩さない紫野さんは
自分の後ろの窓のカーテンの隙間からちらっと外を覗いた
着いた!?
あたしも、真似るように顔だけ後ろを向き
覗くように窓の外に視線を映した