王様とアタシの絶対恋愛制度


「屋敷はこちら側にあります」


そんな声に振り返ると紫野さんは
既に外に出て車のドアを開けて待ち構えていた


ドアの隙間からは良く外が見えない


あたしはゆっくり立ち上がると
吸い込まれるように車の外に向かった


わああああーー!!!


心の中のあたしは悲鳴にも似た声を上げるが


感動と驚きのあまり言葉が出なかった


目の前には幅50メートルぐらいの
白く段が低い階段が25メートルぐらい続いていて


その真ん中にはよく見る赤いカーペットが敷かれ
その1歩後ろぐらいにズラーッと
使用人らしき人が一列に並んでいる


もしかしてこの間を通るとか
言わない、よね?


言わないでくれ。そんな期待を
込めながら自分に言い聞かせるが


「こちらへどうぞ」


紫野さんが歩き出した方向には
明らかに赤いカーペットが続いていた


うそ…


心臓がばくばく騒ぎ妙に冷や汗をかく


躊躇うあたしに紫野さんは
容赦なく進むことを促す


もー!!なんとでもなれ!!


歩き出したあたしはやけになっていた


< 42 / 67 >

この作品をシェア

pagetop