王様とアタシの絶対恋愛制度
「す、すごーい…」
さっきから"すごい"とか"わー"とか"えー"を繰り返すあたし
王宮に入った瞬間も驚いたけど
さらに驚いたのは一番に案内された衣装部屋である
ズラーッと並ぶドレスやアクセサリーや靴
さらには着替え用の試着室のようなものや鏡まである
まるで服屋さんのようだ
「全部凪紗様のためにご用意したものですよ」
どれでもお好きな物をお選び下さい
というように紫野さんは身を低くして手を大量の衣装の方に手を伸ばした
「あたしのために?」
「はい」
あたしはそのキラキラと輝くドレスに引き付けられたように部屋に入る
ここに来ることは本当に嫌だったけど
この服の山は女のコとしてはとても魅力的で胸が弾んだ
「気に入っていただけましたか?」
紫野さんの言葉にオーバーリアクションをしそうになったあたしは
慌ててそれを制御し声は出さず小さく頷いた
本当はとても嬉しかったが物につられてしまった自分が急に情けなくなってきたのだ
そんなあたしはお構いなしに
紫野さんは手に取りつつ並んだドレスを眺めると
そのうちの1つを手に取ってこちらに向かう
「今日は王との初対面。
身なりは大切ですよ」
これなんていかがでしょう?と紫野さんは限りなく白に近い薄ピンク色のドレスをあたしに当てた