さよならLetter
食事も終わって、部屋に戻ってからも2人で窓から夜景を見ていた。
夜景を何とか写メで撮ろうと苦労しているルウコを見て、代わりに設定を変えて撮ってやるとすごく喜んだ。
「ソウちゃん、写真撮るの上手!カメラマンになれば?」
「カメラマンねぇ・・・、サラリーマンには向いてないとは思うからいいかも」
ボクが笑うとルウコは「スーツも似合いそうだよ」と言った。
「ねぇ、ソウちゃんのお父さんって何やってる人なの?」
「え?親父?」
唐突な質問に驚いた。
「考えてみれば、あたし達って家族何してるとか、兄弟が何人いるとか知らないのよね」
「そうかもな」
全開に空けている窓から、夏の風が入ってきてエアコンを入れなくても大丈夫そうだ。
「うちの親父は美容室やってるよ」
「え!?そうなの!?ソウちゃんのその髪型とかもお父さんが切ってるの?」
「うん」
ボクはアシメになっている前髪を触った。
「で、母親はペットショップでパートしてて、大学生の姉がいます」
「お姉さん、ソウちゃんにソックリそうね」
ルウコはクスクス笑った。