さよならLetter
車がゆっくり左側に停まった。
ボクは運転席のルウコの母親を睨み付けていた。
ルウコの母親は「ごめんなさいね」と言ったかと思うと、涙をボロボロ流し始めた。
しばらく嗚咽をもらさないように口元を押さえて泣いている母親を黙って見ていた。
「本当にごめんなさいね、ソウちゃん・・・」
少し落ち着いてルウコの母親が呟いた。
「ルウコにもね、ちょっと前に言われたの。『あたしの未来はまだずーっと先まである』って・・・、あなたとお付き合いを始めてからルウコ変わったわ。強くなった。恥ずかしいわね、親が諦めてて・・・言葉が悪いけど他人のあなたが諦めてないって、希望を持っているのに・・・親として恥ずかしいわ」
「いえ・・・ボクも失礼な言い方をしてすいません」
ボクが頭を下げると「いいのよ」と言われた。
「ソウちゃん」
「はい」
「ルウコの事、よろしくお願いします」
今度はルウコの母親が頭を下げた。
ボクの頭の中では色んな事が浮かんでは消えを繰り返してたけど、
「わかりました」
と頷いた。
そうしたら、ルウコの母親はルウコとそっくりな笑顔でボクに笑いかけてきた。