さよならLetter

「・・・高1の時、部活で元気に走り回って楽しそうに笑っているソウちゃんを見かけてからあたしの視界にはソウちゃんでいっぱいになった。気がついたら恋をしていたの。廊下を通り過ぎる時なんてドキドキしたわ。・・・でも、話しかける勇気なんてあたしにはなかった」


ルウコは笑顔でボクに話し出した。


「その時のあたしは、病気って事実に押し潰されそうだった。ソウちゃんと話かしたい、そう思ったけど病気なあたしがいいのかなって思ってた。でも、奇跡的に同じクラスになって、席が後ろになった時初めて神様っているのかな?って思ったの。大好きなソウちゃんを見てるだけで幸せだった。」


「ルウコ・・・」


「でも、あたしってワガママに出来てるのよ。病気って事よりも何よりもソウちゃんをあたしだけもモノにしたかった。ソウちゃんの笑顔があたしだけに向けられていたらどんなに幸せだろうって・・・。だからこっそり下駄箱に手紙を出した」


クスクスと楽しそうに笑っている。


「まさか、返事がくるなんて思わなかった。ただ、ソウちゃんの声で『ルウコ』って呼んでほしかったの。それが今日まで一緒にいれて、まさかお嫁さんになれるなんて・・・そして、ソウちゃんとの間に子供が出来るなんて・・・、あたしって幸せすぎるかも」


「それは、オレだって思ったよ。まさか「柏木流湖」がオレの彼女になって、そんで今はオレの奥さんになってる。オレの方がルウコに幸せにしてもらったんだよ」


ルウコは首を振った。


「ソウちゃん、ソウちゃんがあたしを幸せに、生きていたいって希望をくれたんだよ。ありがとう」
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