さよならLetter

放課後、部室に向かおうとしている幹太に声を掛けた。


「あのさ、オレ今日は部活休むから顧問に言っておいて」


そう言うと、幹太はニヤーっと笑った。


「柏木さんとデートっすか?」


「は?」


ギョっとしてしまった。鈍い幹太になぜそんな事がわかるんだ!?


「なーんか、最近、お前と柏木さんって仲いいよな?」


「別に、普通だよ」


そんなボクの顔を覗き込んで、「そうかなぁ?」とニヤニヤしている。


「オレ見ちゃったんだよねー、昼休みに図書室でお前らが仲良さそうに昼飯食ってるの。しかも!なんと!1回だけじゃねーし」


「勝手に覗くなよ!」


ボクは赤くなりながら怒った。


「いやいや、まさか、あの『柏木 流湖』が選ぶ男がお前だなんてな」


ボクが否定もしないでただ赤くなっていると、幹太はマジマジと見た。


「・・・冗談で言ってたんだけど、マジなのか?」


どうやら幹太はただからかっていたみたいだった。


幹太の事はボクは一番信用している。


なんてたって、小学校の時の少年サッカー時代からの長い付き合いだ。


それに幹太は人の悪口を言わないし、口も堅くてボクをよく理解している。


(幹太になら・・・、手紙の事以外は言ってもいいかもしれない)


そう思って、今までの経緯を簡単に説明した。

手紙の部分は「メール」って事にして、内容は特には伝えないように。
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