さよならLetter
「いやぁ、それにしてもソウがルウコちゃんと付き合ってから部員のやる気がかなりアップしたよな」
いつの間にか「ルウコちゃん」と幹太は呼んでいる。
まぁ、ルウコもほとんど毎日部活を見に来てるから「幹太くん」と呼んでるけど。
「わかりやすい連中だよな。ルウコが見てるからってだけでさ」
ボクもうなずく。
いくらボクの彼女になったとはいえ、ルウコはあの『柏木さん』である事には変わりないんだから。
「でも、ソウは変わらないよな?張り切ってるワケでもないし。いつも通りのダルーイ感じ」
「幹太、失礼だぞ。オレは別にダルイなーってワケじゃなくて、体力温存法を考案して部活やってんだよ」
「はいはい。部長としては複雑ですけどね。事実、ソウがいないと困るし」
幹太はサッカー部の部長。
ウチの高校はまぁ、中の上くらいな実力だけど、幹太の実力は飛び抜けていると思う。クラブチームのユースからも声がかかっているけど、幹太は興味なし。
『オレはサッカーに人生捧げてるワケじゃないからね』と言っている。
そういうボクもサッカー命ってワケじゃないから人のこと言えないか。
「あ、幹太発見!!」
デカイ声と共に誰かが走ってくる。振り向いた時には幹太はタックルされていた。山下 明日香に。
「いってぇ!!明日香、何だよテメー!!」
涙目で幹太は明日香に文句を言っている。
「へへへー。幹太って超ウケる」
明日香はケタケタ笑っている。