さよならLetter
なぜ、こんなに幹太と明日香が仲良くなったかと言うと、本当に奇跡的な偶然。
幹太が再会した小学校時代のクラスメイトの「ミサ」と明日香が、これまた小学校時代に習っていたピアノ教室が一緒で今でもよく遊ぶらしいとわかった。
いまいち、進まない幹太とミサの関係に「あたし手伝ってあげようか?」と明日香が言ってからすっかり仲良くなった、というわけ。
ボクは元々、明日香と喋ったりもしていたし、ルウコと付き合うようになってから、「ルウコの事、本当にお願いよ!」と念をされるくらいになって、自然と「山下」から「明日香」へ呼び方が変わった。明日香も「ソウ」から、これは確実にからかってると思うけど「ソウちゃん」と呼ばれるようになった。
明日香は1コ上の彼氏がいるけど、ボク達は自然と4人でつるむ事が多くなった。
「ソウちゃん、あのね」
ルウコがボクの袖を掴んだ。
「ん?どうした?」
「今日なんだけど、このまま早退しようと思って・・・だから・・・」
「あー、別にいいよ。帰りだろ?気にしないで」
ボクが言うとルウコは申し訳なさそうな顔をしている。
「そんな事どうでもいいんだけど、大丈夫か?送って行こうか?」
「それは大丈夫。親が迎えにくるから」
ブンブン首を振って答えた。
「え?親が迎えにくるくらい具合悪いの?」
ボクがビックリしてると、明日香が言った。
「ルウコのママってこの近くで仕事してんのよ。だから迎えにくるだけ」
「あ、そうなんだ」ボクは安堵のため息をついた。