さよならLetter
ルウコがいる病院は大学病院だった。
「あたしはこれ以上はついていけない。連れてきた事をルウコに言われるのは仕方ないけど、あたしも詳しくは知らないから」
明日香は病院の前でそう言って帰って行った。
(循環器科は6階か・・・)
エスカレーターの前の案内板を見て、エスカレーターに乗った。
6階の循環器科のナースステーションでボクは看護士に声をかけた。
「検査入院している柏木流湖と面会の約束をしているんですけど」
そう言うと、看護士は笑顔で
「柏木さんね。611号室ですよ」
と答えた。
611号室の前で少し躊躇った。
(どんな顔して会えばいいんだ?)
ボクにひたすら隠していたルウコはどう思う?
別に隠されていたのが腹立つとかそんな感情は全くない。
ボクが逆の立場だったら、やっぱり隠したいかもしれないから。
こんなジャージ姿で現れて、ルウコはどうするんだ?
頭もグチャグチャに掻き毟った。
そんな事を考えても仕方ない。
ため息をついてドアをノックした。