さよならLetter
ボクは引きずるように足を動かして、何分かかったのかわかんないくらいゆっくりルウコのベッドのそばにたどり着いた。
フルマラソンするよりも長く感じた。
ルウコは最初は驚いていたけど、もう驚いていなかった。
ただボクをいつものデカイ目でジっと見ていた。
その目はある種の覚悟みたいなものが感じるくらい真っ直ぐだった。
「バレちゃったね」
ルウコは無表情のまま口だけを動かした。
「いつかはバレるって思ってたんだけど、こんなに早いと思わなかった。神様はイジワルだ」
ルウコはベッドのそばのイスを指差して「座って」と言った。
「だから、何で?」
ボクは今度はちゃんと声に出して言った。また、呟いたかのような声だけど。
「ソウちゃん、座ってよ。立ってられると落ち着かない」
そう言われてボクはイスにドサっと座った。座り込んだが正解かもしれない。
「何でって・・・。病気だからベッドにいるに決まってるじゃない」
吐き捨てるような言い方。こんな喋り方をするルウコを初めて見た。
「何の病気だよ。心臓疾患ってヤツ?あの本に書いてた病気?」
「・・・ふーん、本の事知ってたんだ」
つまんなそうに言われた。