さよならLetter

「ソウちゃん?」


ルウコに呼ばれて我に返った。


「フェスのチラシ見たんだけどさ…」


ボクは自分の心の中を見透かされないように言った。


「明日香とルウコ、バラバラなんだけど」


そう言うと2人が笑い出した。


「だって好みが違うもん」


ボクからチラシを取るとルウコは「ソウちゃんはどれ?」とペンを差し出してきた。


ボクはチラシに目をやりながら、見たいアーティストに印をつけた。

大体ルウコと好みが一緒らしい。


「やっぱりあたしとほぼ同じ」


ルウコは目をキラキラさせている。


「やっぱりなー、じゃあ、あたしは幹太を強制連行だ」


明日香が言って、ボクもルウコも笑った。


明日香のを見てる感じだと、幹太と好みが割りと似ているから大丈夫かな?と思う。


「あれ、これはあたしも明日香も見る予定ないけど」


ルウコが一つのアーティストを指差した。


「あ、これは幹太と2人で行くからいいんだよ」


このアーティストは初めてライブってものに行った中1の時、幹太と2人で何て楽しいんだろうって、ちょっと感動した男率が高いハードな感じのバンド。



「これは毎年幹太と行くって決めてるからさ。それに女の子が行ったら潰されて倒れちゃうから」


倒れちゃう…その言葉を口に出してから気付いた。


ルウコはフェスなんて大丈夫なのか?


ルウコを見ると、不思議そうにボクを見ていた。
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