さよならLetter
ボクの部屋には机ってもんがない。
ソフアの前に置いてあるガラステーブルが机代わり。
ソフアとテーブルの間に座って買ってきた医学書をめくる。
テーブルに常に置きっぱなしのパソコンの電源も入れて立ち上がるまで本に目を落とす。
パソコンにルウコの病名を入力したところでノックが聞こえた。
「誰?」
ドアも見ないで返事をすると、
「ケーキ食えだって」
と姉貴がお盆を手に足でドアを器用に開けた。
ボクは姉貴をチラッとだけ見た。
「オレいらねーから食っていいよ」
その返事を待っていたかのように「だよね」と笑ってケーキにフォークを刺した。ボクはコーヒーだけを自分に引き寄せる。
「アンタ勉強してんの?気持ち悪い。どうしたの?」
「まぁ…勉強って言えばそうかもな」
ボクの曖昧な返事もたいして聞いてないみたいだ。
ボクが本を読んでるのを黙ってみていたけど「あ!」とデカイ声を出したからビックリする。