紙ヒコーキ~君に届け
今、俺の前に美幸が居る
でも声を掛けることは出来なかった
また無視されるのが怖い
それが俺の体を止めていた。
「痛っ!」
やってしまった…
傷が痛んだせいで、声に出てしまった。
あっちも気付いたのかこっちに振り返る。
気まずい…
「よ、よぉ…」
焦りながらも、学校の時と同じように美幸は無言で俺の横を通り過ぎた。
「待てよ」
通り過ぎ際に、彼女の腕を掴んだ
「何?」
「痛っ。何で無視するんだよ?」
「別に。離してよ」
冷たい言葉
それに俺も頭にきた
「なんだよそれ…
俺が何かしたのかよ?」
「別に。良いから離してよ!」
怒ったような声と同時に掴んだ腕を振りほどかれる。
「痛っ!」