紙ヒコーキ~君に届け


手が止まらない


殴る
とにかく殴る

殴って…殴って…

殴ってから何だ?


そう思った時、自然と手が止まった。


「……」


気付いた時には相手が倒れ
誰も声を出さず
聞こえるのは荒い俺の呼吸


「なが…れ」


美幸が俺を呼ぶ

何も言わずに美幸に近寄り抱きしめた


「ごめん…怖かったろ…ごめんな」


それだけを伝えた


「うっ…うん…」


啜り震える声
美幸は泣いていた

俺は強く抱きしめた

守ってあげれなかった
大切な人を傷つけてしまった

それが悔しがったんだ


「ながれ…?」


「…帰ろ」


「あ、うん」


美幸の手を引き
最後まで見届けていた裕弥と三人で倉庫から出た。

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