紙ヒコーキ~君に届け
「もう…冬だな」
「だね。今年も雪降ったら良いなぁ」
子供みたいにロマンに浸る美幸に
俺は思わず吹いた
「な、なによぉっ」
「やっ…べ、別にっ…プックク…」
それからはもう痛いのなんの
美幸がマジ殴りで突っかかってきて焦った。
暴力反対だ。
「お前ちったぁ加減しろよなぁ…」
「え?何がぁ?」
とぼけた
コイツ今とぼけやがった!
もう勝てねぇなこりゃ…
「もう遅ぇし帰るぞ暴力女」
「ん?誰が暴力女って?」
「さぁ?早く帰るぞぉ」
わざとらしく頬を膨らませて俺についてきた。
「可愛いなお前」
「なっなによいきなりっ」
「いんや、なーんも」
美幸を家に送るまでうるさい声は秋の空に響き渡った。