弱虫スピリット
「バスケかー!良いね♪」
紫乃のたれ目が細くなる。
やっぱり、
この幸せそうな笑顔は
昔から変わらない。
「うん。紫乃は?」
「私?私はね、
まだ決めてないんだけど―・・・」
「紫乃ちゃ-ん!」
紫乃が言いかけたとき、
サラサラロングで
目の大きな子が
私たちの方に近寄ってきた。
「あ、冴梨〜」
肌も白くて綺麗で、
モデル顔のその子は
紫乃に抱きついた。
私の知らない顔―・・・
ということは、
紫乃の小学校の子かな?
「あ、
飛鳥に紹介しなきゃね。
この子は三浦 冴梨(ミウラ サエリ)。
私と小学生のとき
同じクラスで、
仲良かった子なの」
なるほど。
そういえば、
紫乃と同じ小学校の子のことは
よく知らなかった。
うちの中学は
全部で3校の小学校から
生徒が集まってくるから、
当然私が知らない子も
たくさんいるのだ。
「あ!飛鳥ちゃんでしょ。
紫乃ちゃんから聞いてるよ♪
よろしくね!」
大きな瞳が私を見て
にっこり笑う。
あまりにもハッキリとした
顔立ちなものだから、
つい見とれてしまう。
そういや
名前は聞かなかったけど、
すごいモテる子が
自分の小学校にいるって
紫乃から聞いたこと
あったかも・・・。