男の中の女.~love story~

歩side





俺は大人が嫌いだ。

身近で言うと、先生。

分かったふりして
生徒のことなんて
ちっとも分かっちゃいない。
分かろうともしていない。

そのくせ、一丁前に
給料だけもらう公務員。

そんな大人には絶対ならない。




「おい、神崎」

俺は放課後、
担任のナカジマに職員室に呼ばれた。


「何すか」

俺はポケットに手をつっこんだまま
ぶっきらぼうに答えた。

「何だ?その髪は」

俺の頭を指指す。

「明日までに染め直して来い。
 じゃないと俺が怒られるんだよ。
 分かるか?」

途中から小声になるナカジマ。
そんなに怒られるのが嫌いか?
俺はいつでもそうなのに。

「ぅす」

「ちゃんと戻してこいよー」



俺はそのまま職員室を出た。

勿論、黒染めする気なんて、
微塵もなかった。


大人のいうとおりなんか
絶対ならない。

俺は俺の生き方をしてやる。


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