男の中の女.~love story~
飛鳥side
「・・・ウソでしょ・・・」
アタシは家で
呪文のようにそれを繰り返す。
「イヤだイヤだイヤだ・・・」
言葉とは裏腹に、
顔はどんどん赤みを増していく。
「なんでだよ・・・
大体補習初日なんかに・・・」
大体、結城のヤツ
彼女の昨日イチャイチャしといて・・・
それで欲求不満の余り、
生徒に手ェ出すとか!!
ほんと、ありえねー!!
そしてまた思い出す。
結城の体温。
煙草の匂い。
鼻筋の通った横顔。
切れ長の瞳。
抱き寄せられたときの
厚い胸板に
ひきしまった腕の筋肉。
おまけに
吸い寄せられるような
唇の感触。
・・・もう、アタシおかしい。
ダメだ。
結城のこと、
気にしてるなんて・・・
あんなヤツ、忘れてしまえ!