男の中の女.~love story~
というわけで
只今カラオケボックス。
「よっしゃああぁあ!
歌うぜぇええぇ!!」
夏樹のこのハイテンションには
毎度ながら呆れてしまう。
「お前の音痴な歌声は
いい加減堪えるよ」
歩はしれっと本音を漏らす。
ってか、学校抜け出して
大丈夫だったかな。
まあ、いいかあ。
一瞬。
ほんの一瞬だけ
結城のことが頭をよぎったが
アタシには関係無いし。
あんな奴…。
「アタシも、歌う!
これ入れて!」
南がアタシの好きな歌を
機械に送信してくれた。
「お前、大丈夫?」
南が若干引きつった笑顔で
そう問いてくる。
「何がだよ?
アタシは大丈夫!!」
時間は流れていく。
声がだんだん枯れてきた頃
歩がアタシを外に連れ出した。