男の中の女.~love story~


というわけで
只今カラオケボックス。


「よっしゃああぁあ!
 歌うぜぇええぇ!!」

夏樹のこのハイテンションには
毎度ながら呆れてしまう。

「お前の音痴な歌声は
 いい加減堪えるよ」

歩はしれっと本音を漏らす。



ってか、学校抜け出して
大丈夫だったかな。

まあ、いいかあ。

一瞬。

ほんの一瞬だけ
結城のことが頭をよぎったが
アタシには関係無いし。

あんな奴…。



「アタシも、歌う!
 これ入れて!」

南がアタシの好きな歌を
機械に送信してくれた。


「お前、大丈夫?」

南が若干引きつった笑顔で
そう問いてくる。

「何がだよ?
 アタシは大丈夫!!」


時間は流れていく。

声がだんだん枯れてきた頃
歩がアタシを外に連れ出した。




< 61 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop