男の中の女.~love story~

  

「・・・ごめんな」



突然の謝り。
歩をチラッと横目で窺うと
そこには哀しそうな顔があった。

「あゆむ・・・」


「俺さ、こんなタイミングを
 狙ってたワケじゃないんだ」

ただ・・・どうしても
女子が言ってた言葉が
俺には許せなくて。
お前のことは、男同然に
接してるけど・・・それでもやっぱ
男なんて思ったことは一度もなくて。

歩はそういい薄く笑って
頭をクシャリとした。


私は、女子達が
何て言ったのかは聞いていないけど
何となく、察知した。


「俺、さ。
 お前のこと、好きなんだよね」

アタシに体を向けて
堂々と言い放つ歩。


「お前が誰を好きでも
 俺は飛鳥が好き」

真剣なまなざし。

出来ればこの想いに
答えたかった。




だけどアタシは。

もう戻れない。


結城…先生を
忘れるなんて無理。


ゴメンな、歩…



< 79 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop