TRUMP
売上という面では、全然貢献できていない。


アルバイトだからなのかはわからないが、それについては何も言われたことはない。


それでいいのかもよくわからず、しまいには、あの【お子様入るべからず】の貼紙にも馬鹿にされてる感じがしてきて、イライラしたり、ため息でたりと、昨日辺りからモヤモヤしているのである。


「どうした藍ちゃん。具合悪いの?」


響さんの声がして、慌てて、背筋を伸ばした。


「いえっ!すみません!大丈夫です」


あたしは、椅子から降りると、パワーストーンを取り出した。


「体調悪かったら言ってね。でも、お店だからダラケタ態度はしないように」


「すみません」


うつむきながら謝った。


「何かあった?悩み事?」


「響さん……あの」


「ん?」


「……もぅ、休憩、終わりですか?」


「もぅ少しあるけど。でも、藍ちゃんと2人でお仕事しながらお話しってのも、悪くないかな。従業員とのコミュニケーションも大切だしね」


と言って、ウインクして見せた。


あたしは、慌てて顔をそらせた。


「あの、響さん。私、このお店で働いて、あの、全然、パワーストーン売ってないんです、あの、ごめんなさい……」


「え?」


「……」


「そっか……ありがとう」



え?



ありがとう?



なんで?



「お店の事、考えてくれてたんだね」


「考えてるっていうか、海斗さんが、最低10人には声を掛けろ。っていうんですけど、私1人の時って、お客さん来ないから……だから……」


「気にしなくていいよ。込んでる時もあれば、暇な時もある。暇な時に、その時間を有効に使えばいいだけだ。藍ちゃんが、掃除とか補充とかしてくれるから、僕達は助かってるけど?」


優しく語りかけられ、あたしはモヤモヤが少しとれた。


「あ、あと、あの、に、2階の」


「2階?在庫の部屋?」


「いえ、反対の、右側の部屋って、人が住んでるんですか?会社なんですか?」


「……なんで」


一瞬、響さんの瞳が鋭く光った。




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