TRUMP
「なんでって……あの、貼紙が、なんか」


「【お子様入るべからず】って奴?」


「はい」


「あれが、どうかしたの?」


「いえ、どうかっていうか、何となく馬鹿にされてるような……」


そういうと、響さんは、プハッと笑った。


「響さん?!」


「ごめん、ごめん。馬鹿にされてるって、藍ちゃん、可愛いなって思ってさ」



か、可愛いって……。



今までイケメンに、可愛いなんて言われたことないよ〜。



そんな言葉に、耳が真っ赤になる。


「響さん!からかわないで下さい!もぉ、響さん店長だから、あそこが何か知ってるんでしょ?」


「まぁね、そんなに知りたい?」


「え?はぁ、知りたいっていうか、気になるっていうか……」


「アダルトショップだよ」



えっ?!



響さんは、ニッコリ笑いながら答えてくれた。


「アダルト、ショップ?」


「そう。いろんなの売ってるよぉ。あ〜んなのや、こ〜んな、あれ?どうしたの藍ちゃん、顔が真っ赤だよ。想像しちゃった?」


響さんは、意地悪くあたしの顔を見た。


あたしは、響さんの言葉が図星で慌てた。


「ち、違いますよ!想像なんて!ひ、響さんは、入ったこと、あ、あるんですか!?」



話題を変えなきゃ!



「え?あ、うん、あるよ。お子様ではありませんから」


響さんは、笑いながら答えた。



爽やかに答えないで下さい〜。



イケメンが、そんな場所に行かないでよぉ……。



「藍ちゃん?」


「ふ、不潔です!響さん」


「不潔って……。僕だって、健全な男だから。いろいろ興味が」


「もぅいいです!響さんの趣味をとやかくいうつもりはありませんから!」



お、男の人って、ホントに……!



あたしは、両手で耳をふさいだ。


その様子を見て。


「お子様だ」


と笑った。


「お子様じゃありませんっ!」




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