TRUMP
あたしは、耳から手を離し、響さんにくってかかった。


「へ〜、顔真っ赤にして?」


「それは!響さんが!」


「僕?なに?」


「あんなこと、いうから……」


喉がカラカラになってきた。


バイト中に、なんて会話してるんだろう。


「ハイハイ、お子様の藍ちゃん。じゃ、お仕事戻ってね」



カチン!



完っ璧にお子様扱いされてる。



「だから、お子様じゃ、ありませんってば!もぅ、17歳なんですからね!」


鼻息荒く、再度響さんに抗議した。


「へぇ、じゃあ、こんなことは、とっくに経験済みなんだ?」


そういうと、響さんは、目をつぶりながら、あたしの顔に自分の顔を近づけて来た。


「キャー!!」


あたしは、思わず叫び声をあげ、後ろへ逃げた拍子に、壁にぶつかり棚に置いといたパワーストーンが散乱した。



やっちゃったぁ〜。



「何やってんだ」


智也さんが、休憩室から戻って来た。


分厚い資料が入っているバインダーで、バコッと響さんの頭を叩くと、フロアーの奥へ消えて行った。


響さんは、そのまま前のめりに倒れた。


その後に、蘭さん、涼子さん、海斗さんと、皆勢揃いした。


「お前ふざけんなよ!大切に扱えよ!言っといた掃除終わったのかよ!客がいねぇからってサボってんじゃねぇぞ」


海斗さんに、注意を受けた。


海斗さんは、あたしが入るまでは自分が1番下だったらしく、先輩という立場になったため、事あるごとにダメダシをしてきた。


「響?どうしたの?大丈夫 ?」


涼子さんが、響さんを助け起こすと、響さんは、わざと涼子さんに甘えて、身体を預けた。


「ちょっと、皆が見てるって」



ズキン!



嫌がりながらも、涼子さんは、嬉しそうだった。



ズキン!




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