TRUMP
この胸の痛みがなんなのかわからなかったけど、涼子さんは響さんのことを好きなのではないかと、それは感じた。



響さんも、涼子さんのこと好きなのかな……。



なに?



この感情……。



涼子さんが、響さんの頭のコブを確認してる様子を見て、あたしはその場を離れようとした。



仲いいんだ……あの二人……。



「何突っ立ってんだよ、早く片付けろよ!」


海斗さんに、また注意された。


「すみません!」


あたしは散乱している石を見回した。


「藍、ソイツ等、パワー弱い奴らだからひとまとめに集めて、いつもの木箱に入れといて」


蘭さんは、パワーストーンを、人相手のように話す。


「はい」


蘭さんに言われて、あたしは奥の部屋へ木箱を取りに走って行った。


「何サカッテんだよ」


智也が戻って来ると、響へ、バコッと一発。


「外から見られてたら、売上激減ですよ。場所を考えて下さい」


蘭が響へ、バコッと一発。


「ちょっと、私使って、その場凌ぎしないでくれる」


涼子が響へ、バコッと一発。


「室長!あの女のどこがいいんすか?オレもっといい女紹介しますよ!」


海斗が響へ、バコッと一発、は、さすがに出来なく。


「ラピスラズリにいる時に、室長と呼ぶな」


響が海斗へ、バコッと一発していた。


奥の部屋から戻って来ると、皆何事もなかったかのように、仕事をしていた。


あたしは、散らばったパワーストーンを拾い集め、蘭さん専用の黄色い木箱に入れていった。


蘭さんは、この中から、パワーのある石とそうでない石にわけ、パワーのある石は、蘭さんが、育てるらしい。


育てるって、どんな意味かわかんないけど、蘭さんが、そう言ってた。


蘭さんは、茶髪で耳ピアスとかしてるけど、外見とは違って、海斗さんよりかなり真面目に思えた。


海斗さんは、働く時間帯が違うのか、あまり夕方からずっと一緒になることはそんなになかった。




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